写真コンテスト
第57回(2016年)
カメラ部門 受賞作品
グランプリ
「リトル・プラネット ビッグ花火」
東京都板橋区 丁 一 様
実行委員会コメント
約180度ほどの画角を持つ、いわゆる魚眼レンズによる画像はみなさんご覧になったことがあるでしょう。この作品は、上下左右全方位の360度パノラマ写真が撮れる「全天球カメラ」によって撮影されたものです。青い宇宙にぽっかりと浮いた、いたばし花火大会という小さな惑星とそこから打ち上げられた巨大な花火。陸上競技場の木々と芝生が、地球を緑の惑星に演出してくれました。ぜひ拡大してご覧いただきたいと思います。初めての視覚にしていきなりの大傑作の登場です。
準グランプリ
「上弦の月、金神龍召喚」
東京都北区 福島 圭吾 様
実行委員会コメント
このところ撮影場所を定めて花火写真の表現に挑戦し続けている福島さんの、一つの頂点とも言える作品が誕生しました。戸田橋を渡る列車が描く、一直線に伸びた蛍光色のラインの上にはカラフルかつ露出を引き締めた花火、そして絵に描いたような三日月。この静謐にして大胆な構図は、もはや写真であることを超えた存在のようです。福島さんのイマジネーションが向かう先には何が待っているのでしょうか。
タニタ賞
「きみとまつ、とき」
東京都板橋区 阿部 克俊 様
実行委員会コメント
この作品の一番の魅力は、光。明るく高性能な単焦点レンズが捉えた、柔らかく、優しい、おだやかなひかり。しあわせなひかり。標準レンズの素直な描写ゆえの、"きみ"のとなりにいる感覚、空気感。桃色の浴衣の柄、その隣にふわりとボケて存在する花、ムラサキツメクサなどの草花たち。構図、ピントの位置、絞りの選択、すべてが完璧に舞台を整えています。打ち上げまではまだしばらく。でも充実した、ゆっくりした"とき"がここにあります。
「クライマックス」
東京都八王子市 斉藤 貞二 様
実行委員会コメント
特等席での撮影メリットを余すところなく作品に仕立てた齋藤さん。クライマックスならではのゴージャスで凝った演出を、繊細な表現で描いているのが魅力です。引き締まった黒のキャンバスに描かれた多彩な光跡、光の穂。黄色、紫、青、緑の穂先の向こうにも、計算されつくした花火の造形を確実に写し取り、奥行きを表現しています。きっちりとセンターを取った厳格な構図と、甘さのないカッチリした描写が作品の格調をさらに高めている見事な一枚です。
「どこに座ろうかな」
東京都板橋区 石藤 尚子 様
実行委員会コメント
夕日をバックに、かき氷を手に観覧場所を探す浴衣姿の女の子たち。一人の横顔がシルエットで見え、話し掛ける女の子がスプーンストローを掲げたその瞬間、まさにこの一瞬しかないタイミングを見事に捉えたスナップショットのお手本のような作品です。アンダー目の露出が夕映えを色濃くし、作品全体をイマジネイティブなものにしています。沈みゆく太陽の光を受けて、ほんの1か所だけクロスフィルター効果が出ているところもファンタスティック、素敵な作品です。
蒙古タンメン中本賞
「聖火」
東京都杉並区 菅野 翔悠 様
実行委員会コメント
オリンピックイヤーの今年、とてもタイムリーな作品が生まれました。提灯と花火の組み合わせは人気のモチーフの一つですが、このアイディアをカタチにした方は少ないのではないでしょうか?提灯に書かれた文字の向きも、花火の形、吹き出し具合も、大きさ、色までもがこの作品に見事にフィットしています。2年前のコンテストでグランプリ受賞に輝いた作者は、現在10歳。当時、あまりにも重厚で落ち着いた作品ゆえ完全に大人の作者さんと思い込み、コメントを書いてしまいました。なんともオソロシイ才能の持ち主です。
「秋が来る」
東京都豊島区 佐竹 理絵 様
実行委員会コメント
この作品を最初に見た時、まず思ったのは"飾りたい"ということ。自作でもなく、巨匠の有名作でもなく、純粋に作品の魅力だけでそう思わされたのは初めてのことかも知れません。高い美意識と技術、それ以上に強い意志があってこそ完成する大傑作と言えるでしょう。一見抽象的にも見えますが、審査に加わったメンバーの多くがこの作品を推す普遍的な魅力も併せ持っています。タイトルとは裏腹に、飽きの来ない素晴らしい作品です。
チケットぴあ賞
「私の夢は」
東京都板橋区 堀田 純 様
実行委員会コメント
昨年度グランプリ受賞者の堀田さんは敢えて観客席を訪れず、自ら追求する表現をより深化させる道を選びました。その強い意志が作品タイトルと、この凄まじいまでの圧倒的な作品に結実しました。ピント位置のコントロールに加えて、露出間ズーミングで画面に動きを加えているようですが、それらはあくまでもこの一作の充実ぶりを支える手段にすぎません。究極ともいえる境地まで作品を高めた堀田さん。この先、さらに大きな夢を具現化してくれるに違いありません。
「スーパーノヴァ」
東京都板橋区 永田 剛 様
実行委員会コメント
望遠レンズによる花火のクローズアップ撮影も毎年多数の作品を応募いただく人気のコンテンツですが、この一作は顕微鏡的なまでの繊細な表現力とほとばしるエネルギー感が抜きんでています。シャッタースピード、絞りの選択が見事に決まって、色とりどりのウェーブを描く光跡の一本一本が生命力を持って描写されています。24色の色鉛筆のような、カラフルなパレットのような充実度と立体感の一大シンフォニーです。ぜひ拡大してお楽しみください。
「クライマックスへ」
東京都板橋区 植村 元喜 様
実行委員会コメント
ご常連の植村さんもまた、ご自分のホームグラウンドから撮影を続けることで作品をグレードアップ、進化させてきたお一人です。20時29分30秒。まさにクライマックス中のクライマックスへ向かうその瞬間、これだけの大盤振る舞いも納得の大団円です。一般的に大玉が、しかも大量に開花すると露出オーバーになってしまいがちですが、そこを計算してマニュアル露出でぐっと抑えることができるのは、経験の積み重ねだけが獲得しうる価値といえます。迫力と繊細さを兼ね備えたダイナミックレンジの大きさが魅力です。
板橋のいっぴん賞
「右は板橋・左は戸田、夢の共演」
東京都板橋区 吉永 幸一 様
実行委員会コメント
街路灯の明かりは笹目橋の周辺でしょうか。いたばしと戸田橋、荒川を挟んだ花火大会の共演を街の風景とともに作品に仕立ててくださいました。
が、実は、さらにもう一つの花火大会が共演に加わっていることに皆さんお気づきでしょうか?画面の左下、赤と金色の大きな花火が上がっているのは江戸川花火大会の8号玉でしょう。直線距離にして約24kmを隔てたこの共演者に、より大きな役が与えられた姿も見てみたいものです。
が、実は、さらにもう一つの花火大会が共演に加わっていることに皆さんお気づきでしょうか?画面の左下、赤と金色の大きな花火が上がっているのは江戸川花火大会の8号玉でしょう。直線距離にして約24kmを隔てたこの共演者に、より大きな役が与えられた姿も見てみたいものです。
「いたばしを駆け抜ける炎龍」
神奈川県川崎市 遠藤 敦司 様
実行委員会コメント
真っ先に入賞が決定した作品の一つ。ナイアガラの滝に点火した直後、一瞬にして炎が走り広がってゆく、その瞬間を見事に捉えました。強いコントラストによって作り出された漆黒を背景に、天を駆ける龍の生命力を力強く描いています。炎龍の疾駆を導くかのような提灯のワンポイントが実に効果的で、モノトーンの画面に一点だけ配した原色が全体を引き締めており、静の提灯が動の炎との対比を高めています。今まさに画面を駆けぬけんとする龍の髭が心ニクイ演出を見せてくれます。
「予想より大きかった」
東京都板橋区 福島 充彦 様
実行委員会コメント
そうでしょうそうでしょう、皆さんそうおっしゃるのです。でも、黙ってヤラレっぱなし、指をくわえて見ている福島さんではありません。画面を大きくはみ出して、花火の下半分しか写っていないこの作品、決して花火が半分切れちゃった写真、ではありませんよ。左右はきっちり画面に収めながら、なおかつ絶妙なバランスで街の明かりを配し、上空を覆い尽くす花火の巨大さを強調して見せてくれます。明確な狙いが技術を伴って結実した見事な作品です。それにしても、大きい。
過去の受賞作品
第65回(2024年)
第64回(2023年)
第60回(2019年)
第59回(2018年)
第58回(2017年)
第57回(2016年)
第56回(2015年)